
在宅ワーク用デスクの高さは
70cmでいい?
机を選ぶ前に、椅子を合わせる。足元、入力機器、画面から、自分の部屋で使いやすい天板高を確かめるためのガイドです。
70cmは、
答えではなく
出発点です。
デスク高を定番サイズで決めると、足が浮く、肩が上がる、画面を見上げるといった調整のねじれが起きます。先に椅子を合わせ、その姿勢で入力しやすい天板高を探します。
確認する順番は、椅子、足元、太もも、キーボードとマウス、画面、机です。
机だけを見ず、
姿勢を一緒に見る。
高さは椅子・画面・入力機器と連動します。購入前には、普段の椅子と作業機器を使って一つずつ試します。
足裏と椅子
足裏全体が床または足台に安定し、背もたれを使えるか。
太ももと膝裏
座面前端と膝裏に、わずかなゆとりが残るか。
キーボード
肩をすくめず、前腕から無理なく手が届くか。
マウス
肘のラインから大きく外さずに操作できるか。
画面
目からおおむね40cm以上離し、正面に置けるか。
脚元と通路
脚を動かせ、椅子を引いた後も生活動線が残るか。
70cmは出発点であって、答えではない
固定高のデスクには70cm前後の製品が多くあります。しかし、机の高さは身長だけで決まりません。椅子の座面高、座った時の沈み込み、履物、キーボードの厚み、モニターの置き方で、使いやすい位置は変わります。
厚生労働省は、高さを調整できない机では作業者の体形に合った高さを、高さを調整できる机では体形に合う範囲で調整できることを示しています。[1] 購入候補の数字より先に、椅子、足元、入力機器、画面を順に調整してください。
| 確認する順番 | 見ること | 合っていない時の兆候 |
|---|---|---|
| 椅子 | 足裏と背もたれ | 足が浮く、浅く座る |
| 太もも | 座面前端と膝裏の余白 | 太ももが圧迫される |
| 入力機器 | 肩・前腕・手首の位置 | 肩が上がる、手首が反る |
| 画面 | 視距離と正面配置 | 見上げる、顔が前に出る |
| 机 | 上記を同時に満たす天板高 | 椅子または画面だけを無理に調整する |
まず椅子を合わせる
椅子へ深く座り、背もたれに背を十分に当て、足裏全体が床に接する姿勢をつくります。厚生労働省は、必要に応じて滑りにくく十分な広さの足台を使うこと、座面前端と膝裏の間に手指が入る程度の余裕を確保することを示しています。[1]
座面高を下げると足が安定する一方で、既存デスクが高く感じることがあります。この時に椅子だけを上げて足を浮かせるのではなく、足台、キーボード位置、机高を一緒に見直します。
キーボードとマウスで天板高を判断する
入力機器は机高を判断する中心です。英国HSEは、キーボードを肘より少し低い位置にし、肩をすくめない高さにすること、マウスを肘のラインに置くことを示しています。[2] 厚生労働省も、椅子、机、キーボード、マウス、ディスプレイを総合的に調整することを示しています。[1]
机が高すぎると肩が上がりやすくなり、低すぎると背中を丸めたり手首を不自然に曲げたりしやすくなります。購入前には、厚紙や本でキーボード位置を仮に上げ下げし、普段の椅子で15分程度入力して試します。
画面は「机に載るか」ではなく「目線に合うか」で置く
画面を机へ置いた結果、見上げる位置になったり近づき過ぎたりすると、デスク高の判断が崩れます。厚生労働省は、おおむね40cm以上の視距離を確保し、画面上端を目の高さとほぼ同じか、やや下にすることが望ましいと示しています。[1]
ノートPCを長時間使う場合は、画面とキーボードが一体であることが制約になります。外付けディスプレイや外付けキーボード等を作業内容に応じて使い、画面と入力機器を別々に置ける余白があるかを確認してください。
固定高デスクと昇降デスクの選び分け
| 選択肢 | 向く条件 | 購入前に見る寸法 |
|---|---|---|
| 固定高デスク | 椅子と試した結果、入力位置・足元・画面が無理なく合う | 天板高、脚間、引き出し下、モニター設置後の視距離 |
| 昇降デスク | 複数人で使う、座位と立位を切り替える、固定高で肩か足元が合わない | 最低高・最高高、天板下の構造、昇降時の配線、耐荷重 |
| 足台・キーボードトレイ等 | 机本体を替えず、足元または入力位置だけを補正したい | 足台の面積・滑りにくさ、トレイの耐荷重・膝との干渉 |
厚生労働省の目安では、調整可能な机は床から60cm〜72cm程度の範囲を調整できることが望ましいとされています。固定高の机は65cm〜70cm程度が目安として示されていますが、これは個々の体形に合うことが前提です。[1]
購入前の最終チェック
- 椅子へ深く座り、足裏全体が床または足台に安定している。
- 座面前端と膝裏の間にわずかな余裕がある。
- 肩をすくめずにキーボードとマウスへ手が届く。
- 画面は正面にあり、目からおおむね40cm以上を確保できる。
- 画面上端が目の高さとほぼ同じか、やや下にある。
- 机下に脚を動かせる空間があり、椅子を引いても通路を残せる。
- 候補製品の天板高、脚間、引き出し下、奥行きを自室の実測値と照合した。
まとめ
在宅ワーク用デスクの高さは、70cmという定番値ではなく、椅子、足元、入力機器、画面を調整した後に残る高さで決まります。今ある家具で姿勢を試し、合わない部分を一つずつ切り分けてから、固定高デスク、昇降デスク、足台、外付け入力機器を比較してください。
参考資料:[1] 厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」 / [2] HSE “Good posture when using display screen equipment”